真実が暴かれ、復讐が果たされても――なぜ、こんなにも胸が締めつけられるのだろう。
SBSドラマ『埋もれた心』が、視聴率15%超えという歴代最高の数字とともに最終回を迎えました。
パク・ヒョンシク演じるソ・ドンジュは、ついにすべての復讐をやり遂げます。しかしその果てに待っていたのは、決して爽快な勝利ではなく、深い孤独と空虚さでした。
第15話と最終話では、登場人物たちの欲望が次々と明るみに出て、破滅の連鎖が加速。
本記事では、そんな『埋もれた心』後半のクライマックスを丁寧に振り返ります。
🌿第15話あらすじ

ジャンソン(ホ・ジュノ)は、ついに爆弾のような事実を明かします。それは、ガンチョン(ウ・ヒョン)が認知症を患っているということ。そしてその弱みに乗じて、ドンジュ(パク・ヒョンシク)がテサングループを崩壊させようとしている…と彼は語ります。
一方で、ジャンソンはヨンス(ト・ジウォン)に対し、「ドンジュはソヌの地位を脅かす存在だ」と圧をかけ、テサンから排除しようと画策。しかし、ヨンスはガンチョンに及ぼす影響を懸念し、葛藤します。
その頃ドンジュは、ドクヒ(キム・ジョンナン)に「ジャンソンを止めるため、テサンエネルギーの代表理事にならなければ」と切実に訴え、推薦を依頼します。けれどドクヒは「その席は私の娘・グクヒ(ホン・スヒョン)も望んでいる」と、簡単には頷きません。
ドンジュはさらに、「ソヌの母がジャンソンを後押しし、会長を操っている。このままだとテユンの未来も危うい」と真意を告げます。そんな彼に対しドクヒは「ならば遺産相続放棄の覚書を書いて」と要求。反発しながらも、涙ながらに「ただ息子の未来を守りたいだけだ」と訴える姿が印象的でした。
やがてドンジュはホ・イルドの死に関する新たな証拠を携え、記者会見に臨みます。その様子を見たジャンソンは、突如として検察へ向かい、驚くべき発言をします。
「ガンチョン会長は認知症を患っている。診断書もある」と衝撃の事実を語り、ドンジュがその隙を突いてグループを乗っ取ろうとしていると糾弾。
この会見を見ていたガンチョンは激しい怒りとショックに襲われ、ついには倒れてしまいます。しかし彼は、自らの状態の深刻さを悟り、ついに立ち上がります。自ら検察へ赴き、ジャンソンを告発するという、まさかの展開に――。
「埋もれた心」最終話|復讐の結末と切ない別れ

🎬ドラマ最終話を飾った、圧巻の視聴率
2025年上半期、最も心を揺さぶったドラマ――
SBS金土ドラマ『埋もれた心』がついに幕を下ろしました。最終話は首都圏15.7%、全国15.4%という自己最高記録を叩き出し、瞬間最高視聴率はなんと17.9%。視聴者の熱量の高さがそのまま数字に表れた圧巻のフィナーレでした。
主演パク・ヒョンシクの新境地ともいえる名演技と、ホ・ジュノの重厚な存在感。欲望と復讐の渦に巻き込まれた人々のドラマが、ついに終着点を迎えます――。
🌊復讐の先に残されたものは…
ヨム・ジャンソン(ホ・ジュノ)をついに追い詰めたソ・ドンジュ(パク・ヒョンシク)。デサンエネルギーの代表理事に就任し、長年の復讐が叶ったはずの彼の表情には、なぜか晴れやかな笑顔はありませんでした。
ジャンソンが忽然と姿を消し、ドンジュは悪夢にうなされます。銃口を向けられる恐怖。…けれど、それは現実になることはありませんでした。
彼が向かったのは、ジャンソンの欲望が象徴された場所“ワヨンジェ”。そこで彼は、激しく衝突したあの瞬間を思い出します。自らの手でジャンソンを「金の山」に閉じ込めた――そう、テサングループの非資金金庫に監禁したのです。
すべてを手に入れたはずのジャンソンが、欲の象徴ともいえる金庫の中で「出してくれ」と叫び続ける。その姿は、あまりに皮肉で、そして哀れでした。
ドンジュは、かつてホ・イルド(イ・ヘヨン)とジャンソンが持っていたすべてを奪い取ると誓っていた通り、ジャンソンに「全財産寄付の誓約書」を書かせます。そしてようやく彼を金庫から解放します。
その背中を見送るドンジュの頬には、一筋の涙が流れていました。
🌬️虚しさだけが残った、静かな別れ
その後、ドンジュは金庫の暗証番号をヨ・ウンナム(ホン・ファヨン)に託し、静かにその場を去ります。
海へと向かった彼は、ホ・イルドの遺骨を撒き、ふたつの銃を手にしたまま、深く後悔の念に沈みます。
復讐を果たしても、心が満たされることはなかった――そんな背中が切なくも美しく描かれていました。
💔欲望の果てに待っていたのは、破滅という結末
登場人物たちは、それぞれの「欲」によって自らを破滅へと導いていきます。
- チ・ソヌ(チャ・ウミン)は、テサングループを手に入れたいという強すぎる野望から、なんと甥であるホ・テユン(ユン・サンヒョン)の命を奪ってしまいます。
- チャ・ドクヒ(キム・ジョンナン)はその代償はあまりにも大きく、彼を信じ支え続けた母チャ・ドクヒ(キム・ジョンナン)は、愛する息子を失い、心を壊してしまいました。
- チャ家の血を継ぐ者にすべてを託そうとしていたチャ・ガンチョン(ウ・ヒョン)は、進行する認知症により視力さえも失い、静かに人生の終幕を迎えていきます。
「欲望は人を破滅させる」――そんなメッセージが静かに、でも確かに心に届く最終話でした。

🎭俳優たちの熱演が生んだ、傑作の余韻
最終話を支えたのは、圧倒的な演技力を誇る俳優陣。
パク・ヒョンシクは復讐者という難しい役どころを、抑えた表情と内面の葛藤で魅せきり、新境地を切り開きました。
ホ・ジュノは悪役ながらも圧倒的な存在感で、視聴者の感情を激しく揺さぶりました。
さらに、イ・ヘヨン、キム・ジョンナン、ホン・ファヨンといった名優たちの繊細な演技が、作品の完成度をより一層高めてくれました。
📝筆者のひとこと
『埋もれた心』という作品を追いながら、私がずっと注目していたのは――やはりチ・ソヌ(チャ・ウミン)とその母・チ・ヨンス(ト・ジウォン)親子の存在でした。
彼らが登場して以来、「この親子は、きっとこのドラマのカギを握る存在になる」と確信していたのですが……まさか最終話でそれがここまで的中するとは。
そして何より、チ・ソヌを演じたチャ・ウミンの圧倒的な存在感。
『弱いヒーロー』出演でも注目を集めた彼ですが、今回もまた“危うい二面性”を持つキャラクターを見事に体現していて、本当に鳥肌ものでした。今後の活躍にも目が離せません。
ただ、個人的にどうしても気になってしまうのが――この終わり方、やっぱり“続編”を匂わせていませんか?
ラストに流れたヨ・ウンナムのナレーション
「ドンジュ。もう戻ってこなくてもいいから、休んできて」
という言葉は、優しさの中にどこか“再会の余白”を感じさせました。
できることなら少し休んだソ・ドンジュが、また再びテサングループへと戻り、チ・ソヌ&ヨンス親子との新たな対決を繰り広げてくれる――そんな『埋もれた心 シーズン2』の誕生を、今から心から期待しています。
「復讐は、誰も幸せにしない」
ドンジュの物語は、そう私たちに教えてくれたように思います。
たとえ勝ったとしても、心に残るのは空虚さと後悔。そして、その連鎖はまた誰かに受け継がれていく…。
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